こんにちは。
「朝の来ない夜はない」
ノンフィクション作家・吉川英治さんの言葉です。
広辞苑の「朝」の項に「朝の来ない夜はない。 苦しい状況はいつまでも続くものではなく、いずれ好転するものだということ」と説明があります。 ことわざになってます?「夜の明けない朝はない」ともありますね。
12月2日は国連が制定した国際デーの一つ「International Day for the Abolition of Slavery」です。
世界人権宣言に「何人(なんびと)も奴隷にされ、または苦役に服することはない。奴隷制度および奴隷売買は、いかなる形においても禁止する」とあります。
そこで今日は人種差別、奴隷制度を扱った映画の中でも、ソロモン・ノーサップによる奴隷体験記 "Twelve Years a Slave"
(意味:12年間、奴隷として)の著書をドキュメンタリー・ノンフィクション映画として制作し、第86回アカデミー賞作品賞を受賞した、邦題『それでも夜は明ける』を観賞しました。
主人公を演じたのはイギリスの名優キウェテル・イジョフォー。物語の後半でブラッド・ピットが出てきますが、これがまたいい役なんですよね。ブラピーが悪役のはずはなく、いったいどこでどういう役柄で出てくるのだろうと、今か今かと待ちわびていました。彼はカナダ人の大工で奴隷制度解放支持者という役でした。白人に騙されてばかりのソロモンを最後に救ってくれたのが、彼の告発文だったのです。
監督は、 スティーヴ・マックイーン。脚本&制作総指揮 ジョン・リドリー、制作にはブラッド・ピットを含む7名が携わっています。
奴隷制度が身近な問題ではない日本において、注目されたとは言い難い興行収入4億円の数字がそれを物語っていますが、読書や映画鑑賞を通じて視野や世界観を広げることはできると思います。
(※1999年までは10億円以上が大ヒットの基準。近年では制作コストの増加により総興行収入10億円を最低ラインとし、総興行収入30億円以上が大ヒットの基準となっているようです)
再び自由の身となった後、奴隷制度廃止運動家としての活動を始め、南北戦争開戦以前に北部州を回り、奴隷体験を語る講演を精力的に続けましたが、1857年の夏、ノーサップはカナダを訪れて複数の講演を行ったあとに所在および生死は不明となります。まさか暗殺?1858年の新聞記事では再び南部に誘拐されて奴隷になったと報じられたりしました。真相は定かではありません。
原題 12 Years a Slave
公開 2014年(イギリス・アメリカ合作映画) 2時間14分
キャスト
キウェテル・イジョフォー、 マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、
ポール・ダノ、ポール・ジアマッティ、ルピタ・ニョンゴ、サラ・ポールソン、ブラッド・ピット ほか
映画あらすじ
奴隷制度がはびこっていたアメリカを舞台に、自由の身でありながら拉致され、南部の綿花農園で12年間も奴隷生活を強いられた黒人男性の実話を映画化した伝記ドラマ。主人公が体験した壮絶な奴隷生活の行方、そして絶望に打ち勝つ希望を描き出す。監督は『SHAME -シェイム-』のスティーヴ・マックィーン、黒人男性を『2012』などのキウェテル・イジョフォーが演じる。共演には、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ブラッド・ピットら豪華キャストがそろう。
1841年、奴隷制廃止以前のニューヨーク、家族と一緒に幸せに暮らしていた黒人音楽家ソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、ある日突然拉致され、奴隷として南部の綿花農園に売られてしまう。狂信的な選民主義者エップス(マイケル・ファスベンダー)ら白人たちの非道な仕打ちに虐げられながらも、彼は自身の尊厳を守り続ける。やがて12年の歳月が流れ、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バス(ブラッド・ピット)と出会う。
自由証明書で認められた自由黒人のバイオリニスト、ソロモンの生きることを諦めなかった、人を信じることを諦めなかった信念というか、計り知れない生への執着というか、プライドを持って生きていた、そして教養のある人だったのだと思いました。
ルピタ・ニョンゴが演じたパッツィーという少女の扱われ方があまりにも残虐で、見るに堪えがたく、ソロモンが迎えに来た警察と一緒に農場を去るシーンでは「行かないで。おいて行かないで」とでも言いたげに彼の名を呼び泣き崩れたのがとても印象的でした。
彼女はこの作品でアカデミー助演女優賞を受賞しています。
その後、『スター・ウォーズ』シリーズや『ブラックパンサー』シリーズに出演し、映画及びミュージック・ビデオの監督になりました。
今日はそういうことへ関心を向けてほしい一日です。